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WIP展の講評の中で、
「中島はこのプロジェクトの中で、何を感じたのか。」
ということを聞かれた。

実際今回の佐藤家での一連のプロジェクトでは、歌とピザを作り怒濤のスケジュールで東京に戻って来て、大急ぎでWIP展に向けて展示を作り始めたので、佐藤家での2日間に僕が何を感じたのか、ということを考えるよりも先に、佐藤家での時間、事件を、どう展示と結びつけ、伝えるためのパイプをどうデザインするかということばかり考えていた。
アメリカのランドアーティスト・ロバートスミッソンがスパイラルジェッティーというサイトスペシフィックなアースワークをノンサイトという概念で再構成し、美術館で展示して見せたように、佐藤家での時間、コミュニケーション、そしてコミュニティーそのものに、どうやってパブリシティーを持たせ、伝えるのか。というドキュメンテーションの方法ばかりを考えていたのだけれども、僕が伝えたいこととはそんなドキュメントだったのだろうか。

僕が佐藤家で食べたかったのは同じ釜の飯であり、作りたかったのは共に歌うための歌であり、持ちたかったのは共に笑う時間であった。
逆に展示ということで考えてみると、今回は展示のための何かというのを何も考えておらず、というのも、展示においてやりたいことというのが見つからなかった。というか結局展示でやりたいことはいつもないのだ。だから僕は作品制作と呼ばれる行為を、日常的なレベルで本当に自分がやりたいことにまで掘り下げて考えている。
僕は作品を作りたいのではなく、やりたいこと(例えば野球や食事)をやるための時間、それに費やす労力を作品制作と呼びたいし、作品と呼ばれるものは、「それをやるための場」「行われているその場」に設定したい。

僕は僕がなりたいアーティストの定義として、アーティストが何かを作る職業であるのではなく、何かをする職業だと考えている。あいつはおもしろいことをやるやつだ。そしてその面白さをオーディエンスに的確に伝えてくれる。と言わせたい。


それで何を感じたのか、というのはまた別の話で、普段から感覚的なことを言ったりすることを意識的に避けているせいか、あまり何かを(五感などで)感じるということを意識しなくなった気がしている。
そもそも今回の展示で、人は僕が感じていることを知りたい、ということを知った。
思わず「本当にそんなことを知りたいんですか?」と詰問してしまったくらいに、僕にはアートの鑑賞という行為の中に、作家が何を感じたのかということを読み取ろうとするつもりがなかった。
未だに少し疑問が残ってしまうこの問題。
少なくとも僕は同級生が何を感じているのか、プロのアーティストが何を感じているのかを知りたいとは思わない。
けれどもそれを知りたいという人がいるのならば、それに応えるのがプロだろう!

僕が何を感じているのか、これを浮き彫りにできれば自然とその行為の展示での見せ方も、分かって来るのはないだろうかと、最近期待している。
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ワークインプログレス、略してWIPという名の卒業制作のプロセスを提示する審査展が終わりました。
今回のタイトルは
佐藤家テーマソング「佐藤家サンシャイン!!」
佐藤家名物「太陽のピザ」

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(展示風景/photo by 八幡亜樹)

今回の展示は6月の頭に新潟で行った佐藤家での家族向けワークショップ等による2日間の滞在の様子をドキュメントとして提示しました。

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(壁部分/photo by 八幡亜樹)

展示右側自作の壁面には、テーマソングの映像、ドキュメント写真、当日使用した歌詞カード、作詞に使ったエスキースやイメージのスケッチなどを提示しました。

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(左側の卓上部分/photo by 八幡亜樹)

展示左側自作のテーブルには、ピザ作りの映像、テキスト、ドキュメント写真、ピザ作りのための材料と調理器具などを提示しました。

展示したテキスト/

同じ釜の飯を食い、同じ釜の飯を歌い、同じ釜の飯を笑う。
2007年6月9日10日の2日間、流しそうめんで有名な新潟県田上町に住んでいる佐藤家を訪れました。佐藤家というのは、昨年夏に新潟で知り合った、勝さんを大黒柱として、秋田美人ママひろりん、小学生の瞭と葵の4人家族です。
今年の3月、佐藤家にお邪魔した時には手作りのきりたんぽ鍋に挑戦しました。秋田出身の美人ママも作ったことのない秋田名物を、遠く新潟にて家族全員で作りました。そしてこの味、この行事は来年また行われることになり、佐藤家の年中行事としてデザインされました。
きりたんぽ鍋に味をしめ、今回新たな手作り料理に挑戦することになり、瞭のリクエストでかつてママがよく手作りしていたというピザをみんなで作ってみることにしました。そして、中島が密かにもくろんでいた“ひとつの家族に、テーマソングを与える”という企画も同時に行われることになりました。それに合わせて、佐藤家のロゴマークを作製し、手作りピザを家族の名物料理にすることを目指しました。
この一連のプロジェクトのテーマは『太陽』です。太陽はママから中島に与えられた「みんなが和むような太陽」です。

僕が佐藤家と食べたかったのは同じ釜の飯であり、作りたかったのは共に歌うための歌であり、欲しかったのは共に笑い合う時間です。



参考
2006年12月、ピクニックのテーマソングを作曲するワークショップ、以来、東京芸大作曲科3年首藤健太郎とのコラボレーションを継続。
(みんなで弁当食べようぜ☆/ワークショップによって作曲/December, 2006)
2007年3月、秋田美人のママと作る「手作り炭焼きりたんぽ鍋」を、アーティストの作品として佐藤家に寄贈、年中行事をデザイン。
(佐藤家プロデュース/プロジェクト/March, 2007)


project member
首藤健太郎(作曲・キーボード担当)
八幡亜樹(ビデオ・写真担当)
野口蓉子(写真担当/特記のない写真全て)
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